キハ58 572



1964年12月4日帝国車両製の6-3次車で、昭和39年度本予算で和歌山へ配置された。同一ロット569〜572のうち、571・572が和歌山へ配置された。和歌山では紀勢本線の急行「きのくに」で長く活躍した。1970年頃には冷房化されている。「60-3改正」では特急「くろしお」増発で急行「きのくに」は全廃となり、当車は兄弟の572〜574共に1985年3月13日付で伊勢へ転出し、紀勢本線普通列車の気動車化に使用された。国鉄末期には伊勢運転区は廃止し亀山機関区へ統合する動きがあり、1986年3月で規模縮小され、当車は1986年3月3日付けで亀山へ移動した。そして国鉄最後の「61-11改正」時に、当車は紀勢本線用としてJR東海に継承されることから1986年11月1日付で伊勢へ転出し、そのままJR東海へ継承された。伊勢では一貫して紀勢本線の普通列車で使用されたが、キハ75・キハ11の追加増備によるキハ58系全廃計画により2000年2月1日付で廃車となった。

当車は関西地区の特徴が色濃く残っていた。
前面は、和歌山時代に高砂工場で関西タイプの前面補強が施工されている。ワイパーは強化型のWP50へ更新されており、運転席窓下の手すりは、これを避けるべく短くなっているのは関西地区特有の形状である。制御用KE53ジャンパ受栓は、左右離れた位置に設置され、ステップは原形の位置のままである。放送ジャンパ受栓は、関西地区特有のタイフォンとテールライトの間に移設されている。タイフォンカバーは、原形のシャッター式のままである。テールライトは内ばめ式のままである。なお当車は伊勢時代に種別表示幕の横に携帯式列車無線アンテナ挿しが設置されており、JR化初期の伊勢・亀山・中込配置経歴車の特徴である。
側面では、ほぼ原形であるが、乗降ドア隅の丸穴が板で塞がれている。
屋根上は、冷房化後手を加えられておらず標準的な冷房車の形態である。
床下機器は原形であるが、すべて灰色で塗装されているのは晩年の東海地区の特徴である。


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