キハ58 706



1965年10月8日日本車両製の6-5次車で、昭和40年度1次民有で熊本機関区へ配置された。同一ロット705〜709のうち、705・706が熊本へ配置されている。熊本では初のキハ58系配置となり、前ロットを含む700〜706が一気に新製配置され、更に他区からの転入車も加わった。熊本ではキハ55系に代わり急行「えびの」で使用開始した。肥薩線急行は急勾配で、長らく非冷房車のままであったが、1972年11月に竹下よりキハ65が転入すると一気に冷房化され、当車も1972年度中に冷房化された。長らく運用に変化はなかったが、国鉄末期に急行「えびの」減車により当車は志布志地区のキハ26置き換えのため1986年4月7日付で志布志機関区へ転出し、日南・志布志・大隅線で活躍した。国鉄末期には志布志・大隅線が廃止となり志布志機関区も廃止されることから1987年3月に鹿児島運転所へ移動し、そのままJR九州へ継承された。鹿児島では1988年4月12日付で近郊化及び九州色への変更が行われ、引き続き九州南部のローカル運用で活躍した。1992年6月30日にはワンマン化され、鹿児島本区で主に指宿枕崎線で使用された。2000年以降はJR九州では汚物処理装置取付100%化するため、1999年3月29日同装置が取り付けられた。しかし2001年10月6日の筑豊・篠栗線電化による車両転配でキハ58系は大量に余剰となり、2002年3月22日付で廃車となった。

前面は、九州タイプの前面補強が施工されている。ワイパーは強化型のWP50へ改造され、それに伴い運転席窓下の手すりが若干下に移動しているのは九州では標準形。正面窓上の雨どいが撤去されており、鹿児島地区の標準スタイルである。ステップの位置や制御用KE53ジャンパ受栓の位置等も、九州標準の形態。放送用ジャンパ受栓は、JR九州化後の鹿児島工場標準である、助手席側タイフォンとレールライトの間へ移設されている。タイフォンカバーは、原型のスリット状のままであるのが、末期の九州では珍しい。貫通扉には鹿児島時代に快速で使用していたヘッドマーク掛けが残っている。
屋根上は通風器がすべて撤去されているのは九州共通の標準仕様である。また排気口が屋根より若干飛び出しているのも九州標準。水タンクは原型である。
側面はおおむね原型であるが、汚物処理タンクが設置されているので、便所部側面に点検蓋のようなものが設けられている。近郊化の際に洗面所が撤去され、この部分の小窓が撤去されている。400番台以降の乗降扉下部の丸窓は、埋められており存在しない。
床下では、前位側へスカートの取り付けが行われているのは九州の共通事項。機関は原型のDMH17Hエンジンを装備しているが、機関予熱器は撤去されている。また循環式汚物処理タンクを装備している。
妻面は、九州の近郊型特有の、仕切り扉付き。その関係でデッキにあった下降窓は埋められている。


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