キハ58 716



九州最後の波動列車用キハ58系として活躍したうちの1両。

1966年2月3日日本車両製の6-5次車で、昭和40年度第一次民有で竹下機関区へ配置された仲間の1両。同一ロットでは715〜718が同日に竹下へ配置されている。竹下では長崎本線系統の急行で使用され、1970年度には冷房化されている。兄弟4両揃って国鉄末期まで竹下に在籍し、そのままJRに継承された。1989年3月11日には配置換えで直方へ移動し、1989年度に九州急行色へ変更された。当車は主に波動用として、また時には普通列車や急行の増結として使用された。直方から筑豊篠栗鉄道事業部と組織改正後も引き続き波動用として在籍した。そのため大きな改造は施されていない。1990年代末期には、波動用車両の塗装が九州色へ統一されることとなり、九州色へ変更された。当車は2000年以降引き続き当面使用する車両となり、2001年4月19日付で汚物処理装置の取り付けが行われた。引き続き貴重な九州色・原型車内の車両として波動輸送に使用されていたが、老朽化により2009年1月23日付で廃車となった。

前面は、前面補強が未施工となっている。ワイパーは強化型のWP50へ改造され、それに伴い運転席窓下の手すりが若干下に移動しているのは九州では標準形。ステップの位置や制御用KE53ジャンパ受栓の位置等も、九州標準の形態。放送用ジャンパ受栓は、原形のままで、末期の九州在籍車では珍しい。タイフォンカバーは、スリット状ながら、下部の形状が若干異なる、九州タイプを装備する。フック式のヘッドマークステイが貫通扉に取り付けられている。
側面はおおむね原形であるが、汚物処理タンクが設置されているので、便所部側面に点検蓋のようなものが設けられている。乗降ドア点検蓋は、更新改造されキハ40系のようなユニット式のものになっている。400番台以降の乗降扉下部の丸窓は、埋められており存在しない。乗務員室窓バランサー点検蓋は、新製時のものは撤去され、新たに長方形の蓋が設置されている。
屋根上は通風器がすべて撤去されているのは九州共通の標準仕様である。また排気口が屋根より若干飛び出しているのも九州標準。水タンクは原形である。
床下では、前位側へスカートの取り付けが行われている。機関は原型のDMH17Hエンジンを装備している。機関予熱器が撤去されずに残存しているのが、末期の九州車では珍しかった。また循環式汚物処理タンクを装備している。


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