キハ58 729



1966年1月31日日本車輌製の第6-5次車で、昭和40年度本予算で長野機関区へ配置された。同一ロットの729〜731全車が長野へ配置された。長野では中央西線の急行を中心に使用され、急行「きそ」の他、急行「ちくま」「越後」で大阪・北陸本線周りで新潟まで運用された。そして幹線急行であることから1971年には冷房化された。しかしキハ181系投入による急行「きそ」の特急格上げが続き、1972年7月3日付で美濃太田へ転出した。美濃太田では急行「のりくら」を中心に高山本線で活躍した。国鉄末期には急行「のりくら」は徐々に格上げ・廃止され、次第にキハ55系に代わり高山本線の普通列車で使用されるようになりそのままJR東海に継承された。JR化後は1989年にキハ11が投入された際に状態の良い車両が集められることになり、1989年3月11日付で伊勢へ転出し、紀勢本線をメインに活躍するようになった。しかし1994年には快速「みえ」へのキハ75投入で状態の良いキハ58が転入し、当車は1994年12月15日付で廃車となった。

外観は、名古屋時代と長野時代の形態を色濃く残している。
前面は、名古屋工場タイプの前面補強がされている。ワイパーはWP50へ更新されそれに伴い運転室窓下の手すりが極小のものとなっているのは、名古屋地区の特徴である。タイフォンは当ロットオリジナルのシャッター式のままである。テールライトは、外ばめ式に更新されているが、内ばめ時代の取り付け座が残るタイプで、名古屋地区の標準形態である。制御用ジャンパKE53受栓及び冷房電源用KE7ジャンパ受栓の位置は初期冷房車の位置で、KE53はタイフォン下部に寄り添う位置にあり、またKE7の位置は通常よりも低い位置に設置されている。また、KE7の位置にあったステップはKE7の上部に移設されており、主に長野地区で見られた特徴を残している。また、当車は標識灯掛け及び同じ高さにある手すりのうち運転台側も失われており、非常に特異な顔立ちである。放送ジャンパは、名古屋地区標準でステップの下に設置されている。更に特徴なのは種別表示幕横の「架線注意」の札で、長野地区固有の、正面窓上小手すりにぶら下がる形態のものを残しており、長野時代の名残であった。
側面では、ほぼ原形であるが、乗降ドア隅の丸穴が板で塞がれている。またJRマークはこの時代のJR東海車はオレンジ色のものが貼り付けられている。
屋根上は、デッキ上の通風器が残っており、しかも押し込み式に交換されており、大変珍しい。この形態は主に長野地区で散見される。
床下機器は原形である。


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