キハ58 738



1966年4月6日新潟鉄工製の6-6次車で、昭和40年度第1次債務で和歌山へ配置された。同一ロット735〜738のうち、737・738が和歌山へ配置された。和歌山では紀勢本線の急行「きのくに」で長く活躍した。1970年頃には冷房化されている。「60-3改正」では特急「くろしお」増発で急行「きのくに」は全廃となり、当車は兄弟の572〜574共に1985年3月13日付で亀山へ転出し、関西本線・片町線・信楽線で使用されるようになった。国鉄最後の「61-11改正」時に、当車は紀勢本線用としてJR東海に継承されることから1986年11月1日付で伊勢へ転出し、そのままJR東海へ継承された。伊勢では一貫して紀勢本線の普通列車で使用されたが、キハ75・キハ11の追加増備によるキハ58系全廃計画により2000年2月1日付で廃車となった。

当車は関西地区と名古屋地区の特徴が混ざった特徴のある形態である。
前面は、和歌山時代に前面補強が施工されているが、助手席側にもワイパーの切り欠きのあるタイプの板が使用されている。ワイパーは強化型のWP50へ更新されており、その際に運転席窓下の手すりは、これを避けるべく極小のものになっており名古屋地区の特徴に近いという変形車である。制御用KE53ジャンパ受栓は、左右離れた位置に設置され、ステップは原型の位置のままである。放送ジャンパ受栓は、関西地区特有の位置に移設されている。タイフォンカバーは、原形のシャッター式のままである。テールライトは新製時から外ばめである。なお当車は伊勢時代に種別表示幕の横に携帯式列車無線アンテナ挿しが設置されており、JR化初期の伊勢・亀山・中込配置経歴車の特徴である。
側面では、ほぼ原型であるが、乗降ドア隅の丸穴が板で塞がれている。
屋根上は、デッキ上の通風器が撤去された以外冷房化後手を加えられておらず標準的な冷房車の形態である。
床下機器は原型であるが、すべて灰色で塗装されているのは晩年の東海地区の特徴である。


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