キハ58 773



四国最後の普通列車用キハ58系として活躍したうちの1両。

1966年6月17日富士重工製の7-1次車で、昭和40年度第二次債務で高松機関区へ配置された。同一ロット773〜775全車が高松へ配置された。高松では早期の1968年3月23日付けで簡易冷房車に改造されたのちに、1970年6月15日付けで量産冷房化された。四国島内の急行列車で使用された。国鉄末期〜JR化後のダイヤ改正で急行列車の削減が続いたが当車は引き続き急行運用に就き、1987年3月11日付けで回転クロスシート化され、JR化後の1988年11月16日付けで四国色に変更された。1990年の2000系投入によりローカル輸送に使用されることになり、1990年6月23日付けで近郊化改造されると共に、1990年11月21日付で松山へ転出した。松山では終始普通列車に使用され、最後は2006年の1500形増備による車両転配により余剰となり、2008年3月31日付で廃車となった。

外観は、鋼体自体は原形をよく保っているが、四国特有の改造により、原形からは随分雰囲気が変わっている。
前面は、後期車であることから、前面補強未施工のまま一生を終えている。ワイパーは強化型のWP50へ改造されているが運転席窓下の手すりは手を加えられていない、四国標準の形態。制御用KE53ジャンパ受栓の位置は、四国標準に位置に改造されている。タイフォンカバーは、シャッター付からスリット状に改造されている。正面窓上の通風口と雨どいが撤去されているのは、末期の四国の標準形態であった。
側面は便洗面所が撤去された際に、臭気抜き窓が撤去されている。便洗面所窓ガラスも透明のものに交換されている。汚物処理タンクが設置されていた名残で、便所部側面に点検蓋のようなものが設けられている。運転席側窓バランサー点検蓋は、後期車標準の、新製時よりのものを装備している。
屋根上は通風器がすべて撤去されているのは2000年以降の四国共通の標準仕様である。近郊化改造時に便所が撤去されているので、併せて屋根上の水タンクも撤去され、キハ28のような状態になっている。文献によると、簡易冷房車の量産化改造車は、クーラーの配置が異なるとあるが、実車を見る限り、クーラーの配置は他の量産冷房車と同一である。床下では、機関は原形のDMH17Hエンジンを装備しているが、2位側の機関予熱器は撤去されている。また循環式汚物処理タンクを装備していたが、便所撤去の際に当然撤去されている。
妻面は、四国近郊型特有の、仕切り扉付き。その関係でデッキにあった加工窓は埋められている。これは、デッキ撤去に伴い、車内外を仕切る扉が無くなったための代替措置であった。


キハ58イラストのページへ戻る

キハ58系のページへ戻る

ホームへ戻る