キハ58 1022



JR東日本では最後まで使用されたキハ58形の1両。

1967年3月16日富士重工製の7-2次車で、昭和41年度第1次債務。長野機関区に新製配置され、急行「ちくま」「越後」で長野〜大阪〜新潟の運用をメインに、急行「きそ」等で使用された。当運用は、北陸本線・篠ノ井線・中央本線・信越本線が軒並み電化された後も架線下気動車急行で走り続けたが、まず昭和50年に長野受け持ちの「きそ」が電車化され。、昭和53年10月改正では「ちくま」「越後」が電車化された。この際に多くの仲間は他区へ転出するが、当車はキハ55系をメインに使用していた支線急行「野沢」体質改善でその後も長野に留まり、急行「野沢」廃止後も飯山線の普通列車用として長野に残留した。JR化後も長野に在籍し、程なく飯山線カラーに塗り替えられた。1990年代のキハ110系導入による車両転配の流れで当車は車両更新の上新潟へ転出となり、塗装も「新潟色」に塗り替えられ、快速「べにばな」「あがの」等を中心に磐越西線・米坂線で使用された。(程なく組織改正で新潟運転所は廃止となり新津運輸区に転出するが運用の実態は変わらない) 当車は、新潟地区での冷房・更新車では最も車齢が若く、遅くまでの活躍が約束されていた。キハ110系化が徐々に進行し他のキハ58形が順次淘汰されていくなかでも最後まで生き残り、最末期にはイベント効果を期待し急行色(もどき)に塗り戻され、定期列車・臨時列車で活躍し、最後はJR東日本のキハ58系の中では最末期の2009年1月30日に廃車となり解体された。

外観的には、急行色を纏っているものの全体的に細かい改造点が多く、原型からはかけ離れた状態である。
急行色は、特に正面で違和感がある塗装となっている。通常KE53ジャンパ栓納めはクリーム色で塗られるが、当車は赤帯の部分は赤色になってしまっている。また幌枠下部も通常はクリーム色であるはずが、赤帯のまま塗り分けされている。これは完全なエラーである。また、雨どいはこの手の塗り戻し車両に多い「赤色」となっており、昭和40年代中盤には本州用は既に「雨どいはクリーム」が浸透していたので、違和感のある塗装となっている。さらに、側面の車号表記が正規の赤11号ではなく白色で書かれており、全く読みづらくなっている。また車号の位置も通常より窓半分だけ後位側に寄っている。このように、遠目には急行色ながら細部でエラーの多い仕上がりであった。

冷房化がなされているが、残念ながらいつの冷房改造化は不明。

前面は、正面窓上の通風口が埋められている。前面補強はJR化後の施工で、正面手すり部が台座になった形状のものであるが、他の同種車と違いアンチクライマーは付いていない。これだけあちこち改造されているのにもかかわらず、ワイパーは強化型のWP50に交換されず、原型のWP35のまま。標識灯掛けは、当ロットから車体直接溶接のはずなのだが、富士重工製のみは従来通りビス止め。タイフォンカバーは、後期の新潟タイプで下半分がメッシュ状の筒をかぶせたものである。
屋根上は概ね原型で、デッキ上の通風器は他の後期車の冷改車と同様、撤去されている。(これは、デッキの通風器が排気管から近く、車内が煤煙臭くなるため) 水タンクは、新潟地区の扁平なものに交換されている。
側面では、乗降ドアが交換され、金属押さえ窓、ドア隅の小窓無し、タブレット保護柵用の窪み無しである。また、乗務員室ドアも交換され、ドアノブが、窪みの中に収まっている。また乗務員室ドア下部に、小手すりが追加されている。また、客室・常務員共にドア下のくつずり部がステンレスに交換されている。また、当地区では側面ほぼ中央部窓下にサボ差しが追設されているが、これも他地域と比べ窓半分後位側へずれている。(他地域のものは、前位側から5枚目の客室窓下にあるが、当車は前位側から5枚目と6枚目の間にある) また、汚物処理タンクが設置されているので、便所部側面に点検蓋のようなものが設けられている。また、客室扉戸袋部の点検蓋はキハ40系のような形状に更新されている。乗務員室ドア後部にあったタブレット保護板は撤去されている。JR東日本のエンジン換装車共通で、側面の機関冷却水給水口が埋められている。便所窓は、当ロットでは細長い長方形のものになっているはずであるが、更新施工時に、他の更新車同様旧型の正方形に近い形状に改造されている。洗面所側は、洗面所が撤去されたのに伴いガラスが通常の透明ガラスに交換され、また臭気抜き窓が撤去されている。
床下では、複線用スノープロウを付けており、長野地区では豪雪地帯の割にスノープロウを使用しないことから、新津での施工であると思われる。エンジンは、防火対策・車両更新の際にカミンズ製DMF14HZへ交換されている。また、燃料油タンクも角型のものに交換されている。トイレには汚物処理タンクが取り付けられたが、後年の施工であるため、新型の角ばったものが取り付けられている。


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