JR東日本の急行用アコモ改造車。当車は秋田配置で急行「よねしろ」運用で最後まで使用された。急行「よねしろ」用アコモ改造車では、唯一1500番台車であり、また数少ない1500番台の冷房車であった。

1968年2月7日日本車輌製の8-1次車で、昭和42年度本予算（追加）で青森運転所へ配置された仲間の1両。同一ロットでは1501～1505が同日に青森へ配置されている。青森では急行「しらゆき」等で使用され、1970年代前半には冷房化された。1973年には青森運転所が手狭になったことから急行気動車は盛岡・秋田へ転出することとなり、当車は1501～1505揃って1973年10月1日付で秋田運転所へ転出した。秋田では冷房車であることから引き続き幹線急行「しらゆき」で優先的に使用された。秋田では東北新幹線開業に伴う「57-11改正」で急行「しらゆき」が廃止となることから、当車は地方急行の冷房化に回り、11月15日付で山形機関区へ移動となった。山形では急行「べにばな」「月山」「もがみ」等で使用された。1985年3月改正では山形地区でも特急格上げによる急行の削減が続き、当車は急行「陸中」の冷房化のため1985年6月10日付で盛岡機関区へ移動し、そのままJR化を迎えた。盛岡では1987年6月に盛岡色へ塗装変更された。1990年に急行「陸中」にキハ110系が投入されたことから余剰となり、秋田の急行「よねしろ」体質改善に用いられることとなり、1991年9月18日付で秋田へ転属、1992年3月30日には車両更新及びアコモ改造が実施され機関がコマツ製のDMF11HZへ換装された。また塗装も急行色の色だけ変更したJR東日本急行色に変更された。この「よねしろ」での活躍は15年以上続き、最後は2008年7月9日付で秋田で廃車となった。

外観は、JR東日本急行色を纏った、唯一のモデルチェンジ車で貴重であった。他の「よねしろ」用キハ58は23・54.と超若番車で、当車と対照的であった。
前面は、他の更新車同様、正面窓上の通風口が埋められている。前面補強はJR化後の土崎工場施工であり、補強鉄板の縁が目立たない。ワイパーは強化型のWP50に更新されているが、正面窓下の手すりは変更されていない、秋田地区標準スタイル。タイフォンカバーは新製時からのシャッター付である。放送用ジャンパ受栓はなぜか関西地区標準の位置についている。デフロスタは、熱線入りガラスに交換されたため付いていない。制御用KE53ジャンパ栓納めは、なぜか当車は新製時のヒーター付きのものから平窓用のものに交換されている。またイラストの最晩年は車体裾と同じ緑色に塗装されていた。
側面は更新車のため乗降ドアが全て交換されており、ドア下の丸窓やタブレット保護柵用の窪みの無いものとなっている。ドアの靴摺り部は、他の更新車同様ステンレスに交換されている。また、機関換装時に給水口が埋められている。便所が更新された際、他の平窓車と同じユニットを使用したため、便所窓が平窓車同様の正方形に近いものに改造されている。乗降ドアの点検蓋はキハ40系のようなユニット式に更新されている。助手席側乗務員ドアと乗降ドアの間にあったタブレット保護板は撤去されている。汚物処理タンクが設置されているので、便所部側面に点検蓋のようなものが設けられている。アコモ改造時に、行先方向幕が2・3位側の窓上に追設され、当グループ唯一の特徴である。方向幕設置後も、側面のサボ差しは引き続き残置されている。
屋根上は列車無線アンテナ及び花輪線用の衛星アンテナが取り付けられている以外は、冷房車の標準スタイルである。当ロットは屋根上水タンクが平窓車同様の形態である。
床下では、機関はコマツ製DMF11HZへ換装されており、同時に後位側の機関予熱器が撤去されている。油タンクは角型のものに交換されている。また後位側には循環式汚物処理装置が取り付けられている。

1985年頃

↑国鉄時代晩年の姿。秋田時代に循環式汚物処理装置が付いていた。正面はKE53ジャンパ栓納めが非冷房車と同じ位置に取り付けられており冷房車では珍しい形態であった。

1987年頃

↑JR移管直後の姿。列車無線アンテナや側面のJRマーク以外は国鉄時代と変わらない。

1990年頃

↑盛岡色に変更後の姿。塗装以外は、正面助手席側窓上の通風口が埋められた以外あまり変わっていない。

1993年頃

↑前面補強を施工する前の姿。よねしろ用更新を施工した時点で正面形状は手を加えられており特徴のあったKE53ジャンパ栓納め位置などは変わっている。

2000年頃

↑2000年頃の姿。屋根上には衛星電話のアンテナが設置され、また正面には保安ブレーキ等のコネクタが増設され物々しくなっている。1993年頃に前面補強されているが正面形態は更新直後とあまり変わっていない。しかし正面運転席側の尾灯上の標識灯掛けが若干内側に寄ってしまった。

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